フリーランスの直接契約!業務委託でチェックすべき事項とは?

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【2019年1月更新】フリーランスになると、避けて通れない直接契約。新しいクライアントが増えると、仕事が増えて嬉しい一方、対等な契約を結べているのか不安になる方もいるはず。そこで、今回はフリーランスが直接契約でチェックすべき点について解説します。

目次

1.身近な問題SOSトーク#「フリーランス!直接契約のギモン」
2.直接契約でチェックすべき事項を知っていますか?
3.そもそも契約書は絶対必要なのか?
4.雇用形態
5.トラブル事例
6.契約書のチェックポイント
7.直接契約は、フリーランスに必須!プロとしてきっちり内容を確認しよう

身近な問題SOSトーク#「フリーランス!はじめての直接契約」

とある日の女子会…

今回の登場人物

D恵


弁護士事務所勤務のパラリーガル。おっとりしているようで芯が強い。ワイン好き。

B美


ノマドワークがモットーのフリーランスライター。仕事柄、トレンドやSNSに強い。男勝り。

B美
フリーランス始めてもう1年になるんだよね〜。
D恵
はやっ!でもすごいよね〜。自分でお金稼ぐのって本当大変だと思う。
B美
そうかなぁ?まぁ大変だけど楽しいよ!
D恵
すごいと思うよ。自分で仕事見つけてきて、クライアントと対等にやり合って…ってさ。サラリーマンとは全然違うじゃん?
B美
クライアントの方が立場上だよ(笑)それにサラリーマンも大変だよ。まぁでも、確かにフリーランスならではの苦労はあるかもしれないね。
D恵
まぁ確かに大変だね(笑)えっでも、ちょっと待って。法律的に、フリーランスはクライアントと対等のはずだけどな?
B美
そうなの?でも正直なところ、契約とか法律とかよくわかってない。サラリーマンと違うのはわかるけど。
D恵
まぁ普通わからないよね。でも、少しなら私が契約のことととか教えてあげられるよ?
B美
本当に?じゃあちょっと話聞いて!

・・・・・・フリーランスの直接契約について、B美と一緒に理解していきましょう!

直接契約でチェックすべき事項を知っていますか?

フリーランスを始めて1年経ったB美。なんとか仕事はこなしていて順調だけれど、契約など基本的なことについて少し不安もある様子です。

皆さんも直接契約を結ぶにあたり、ちゃんとした契約なのか気になることってありますよね?契約書自体がない場合もあるでしょう。そんなとき、迷ってしまう前に契約に関する多少の知識を知っておけば安心です。

そこで今回は、フリーランスの雇用形態・契約の基本・契約書の必要性・トラブル事例・契約書のチェック項目をまるっとご説明します!

そもそも契約書は必要なのか?

B美
ねぇ契約書って絶対必要なの?
D恵
絶対ではないけど、あった方がいいよね。報酬払ってもらえないときとか、トラブルがあったときに必要になるのが契約書だよ。

そもそも契約書は、当事者間においてなんらかのトラブルが発生した場合や支払い時、納品に関する取り決めを担保するためにあるものです。この観点から、考えていきましょう。

まず、クラウドソージングなどを利用している場合には、必要がありません。クラウドソージング系においては、基本的に支払いが「仮払い」という形で、先払いで担保されているためです。

次に、ブログやSNSなどから直接依頼が飛び込んできた場合はどうでしょうか?

こちらも、契約書は必ず必要というわけではありません。1回限りの契約などもあるため、内容によっては、メールなどの文書のみで仕事をする方も多いと思います。しかし、継続的に仕事をもらう場合には、契約書があった方が良いと言えます。なぜなら、「報酬を支払ってもらえない」などのトラブルが発生したときに武器となるためです。

クライアントと話し合い、契約書をまとめておくことはプロのフリーランスとして大切なことです。

雇用形態について – 業務委託契約ってなに? –

B美
フリーランスとクライアントの間の契約ってどうなってるの?雇用形態というか…
D恵
フリーランスの場合は、基本的に業務委託契約だよ。ちょっと難しいことをいうと、法的性質としては、請負って部類になるの。請負の場合は、仕事の完成が必要になるから、最初に契約した内容通り、納品しなきゃいけないってことになるかな?まぁ修正にも限度があるけどね。

フリーランスでは、業務委託契約がほとんどとなります。そして、この業務委託契約が割と厄介なもの。業務委託契約の法的性質(法律に規定されているカテゴリ)は、請負契約か委任契約となります。民法の条文を見てもらえればわかりますが、ここは面倒なので割愛します。

クラウドソージング等など間に業者が入っている場合でも、たいていの契約は請負契約を元に契約が成立しています。(※時間給+記事の完成で報酬が決められるケースもあり、請負と委任両方の性質を持つケースもあり)

◯ 請負と委託の違い

請負と委託の違いは、ズバリ仕事の完成が必要かどうかです。請負の場合、仕事を完成させないと報酬をもらえません。委任契約の場合は仕事の完成を問わず、委任された業務を行えば報酬を受け取ることができます。

どちらも結局、完成させなければいけないのでは?という疑問があるかもしれませんが、執筆業の仕事でいうと、修正があるかないかという点が違いとなります。根本的な瑕疵(致命的なミスなど)をのぞき、基本的に委任の場合は言われた通りに行えば、修正指示に従う必要はありません。しかし、請負の場合はクライアントが求めた状態で、納品物を完成・提出させる必要があるのです。

◯ 法律上、労働者ではないということ
D恵
お給料サラリーマンとは違って、労働者じゃないんだよ。クライアントとは対等として扱われているから、労働基準法とかの適用はないんだよね。ここ押さえておくべきかも。

そして、サラリーマンだった方にとくに注意してほしいことがあります。それは、会社員時代の「労働契約」とは異なるということです。労働者の場合は、使用者に対し労働者が弱者として考えられています。ですが、業務委託契約の場合は、基本的にクライアントとは対等であると考えられている点に違いがあります。簡単に言えば、あなた自身が社長であるようなものです。

クライアントにお金を支払ってもらうという点では、やはり弱い立場にあることに変わりはないような気もしますが、法律上は異なっていることを覚えておいてください。フリーランスになりたての方は、この点の理解があまりない方が多いので、とくに気をつけましょう。

フリーランスに訪れる危機!よくあるトラブル事例を学ぼう

次に、よくあるトラブル事例について学んでおきましょう。今後のトラブルを未然に防ぐことができますよ。

① 契約書をまとめてほしいが、クライアントが嫌がる

 

B美
実はさ、クラインアントと直接契約するとき、これで大丈夫かなって思うことが多いの。例えば、契約書を巻いてくれないとかさ。大丈夫かなと思いながらも、仕事は欲しいから進めちゃったり…ね。笑 なんかいい方法ある?
D恵
ふむふむ。そんなときは、こっちからメールで簡易の契約書を渡してみたら?メールでも文書としてまとまっていれば、トラブルに対処できるよ。

本来、どちらかが求めた場合には、契約書は作成すべきものです。契約書を嫌がるクライアントは基本的にはあまりよい関係とはいえません。しかし、慣習的に「契約書は巻かないんだ」というケースもあるのが現実です。この場合はメールの文書で、最低限以下に記載しているチェックポイントをまとめて相手に送ってみましょう。

◯ メール記載例

この度はお仕事の機会をいただきありがとうございます。以下、ご依頼の内容をまとめたものですので、ご確認くださいませ。こちらで問題等のご指摘がない場合には、契約書を省略しまして、内容の合意があったものとさせていただきます。

1 業務委託内容
〜に関する記事を作成します。修正に関しては、根本的な瑕疵以外については2度まで承ります。

2 報酬・支払い時期
文字単価◯円(税別)or 1記事〜円(税別)。〜様は、委託分の報酬を翌月末までに支払う。

3 契約の更新(※必要あれば)
両当事者異議がなければ、半年ごとの契約更新を行う。文字単価等交渉できるものとする。

以上です。お手隙の際に、ご確認をよろしくお願いいたします。

② いつ報酬がもらえるのかわからない

 

B美
契約書で押さえておくべきポイントはある?
D恵
最低でも、①委託内容、③報酬の額や支払い時期、を文書内ではっきりさせておくことかな。金額は決めたけど、支払い時期聞いてないとかもあるあるだから気をつけてね。

最初に、報酬がもらえる時期について確認しなかった場合、「いつもらえるのかよくわからない」という問題が発生します。「いくらもらえる」という報酬の金額については、しっかり合意があるのものの、支払いの時期については意外と見逃している方も多いのです。

相手から提示されるのが当たり前というのは、プロとしては失格です。言ってもらえない場合には、自分から尋ねるようにしましょう。また、仕事を開始する前に、聞くことも忘れないでくださいね。

③ 報酬をなかなか支払ってもらえない
B美
納品したのに難癖つけて、なかなか支払ってもらえないときってどうすればいいの?
D恵
相手方が大手企業の場合なら下請け法が適用されるよ。納品して、60日以上経つ場合は、「下請法に反する可能性があること」を言って、支払い請求したらどうかな?個人のクライアントでも、内容証明送ったり、少額訴訟起こして請求するって手もある。わからない場合は、法テラスかうちの事務所に相談だね!笑

「納品してから時間が経つのに、理由をつけて報酬を支払ってもらえない…」

これも、フリーランスあるあるです。「まだ公開されていない」「クライアント側でチェックが済んでいない」などが理由で、報酬を支払ってもらえないケースもあります。この場合、大きな企業の場合には、下請け法を根拠に支払いを請求しましょう。

下請法2条の2では、「親事業者が下請事業者の給付を受領した日から起算して、60日の期間内において」支払い期日を設定することを規定しています。相手に成果物を渡してから、60日以上経過する場合は、下請法に反する可能性があります(ちなみに記事は、情報成果物にあたります)。2ヶ月以上待たされる場合には、下請法違反になりますので、強気に支払いを要求しましょう。

もっとも、相手も個人事業主である場合や大きな会社でない場合には、下請法は適用されません。この場合でも、支払い期日に支払いがなければ内容証明を送ったり、少額訴訟をすることで債権を回収しましょう。法的措置に不安がある場合は、無料で利用できる法テラスに相談するのもありです。

④ やむを得ない事情で仕事を完遂できない場合に、損害賠償を要求された

 

B美
今まではないんだけど、病気とか身内の不幸が原因で、納品期日に納品できなくなっちゃったら、損害賠償とか請求されることってありうるのかな?
D恵
ありうるっちゃありうるよね。債務不履行に基づく損害賠償請求っていう、またややこしい名前なんだけど。でも、親の不幸や病気などの場合には正当な理由になるから、通常は問題にならないと思うよ。まぁこんなことがありうるからこそ、契約書をまとめておけって話なんだけどね 笑

誰にもで不幸は起きるものです。そんなときクライアントが理解してくれず、「損害賠償を請求する!」と言われてしまうかもしれません。

法律上、期限内に仕事の履行ができない場合は、債務不履行に基づく損害賠償請求(民法416条1項)といって損害賠償請求が行われる可能性があります。しかし、これはどんなケースでもできるわけではありません。履行できなかったことに対し「責めに帰すべき事由」が債務者にあった場合には、損賠賠償を支払わなくて済みます。

親の不幸や病気などの場合には、正当な理由になります。また、休暇の場合であってもあらかじめ理由を告げていた場合には、特に問題が発生しません。あまりに執拗に迫られる場合には、こちらも法的対処をとると明言しましょう。

 

契約書のチェックポイント

B美
契約書でチェックすべき箇所はどこ?
D恵
①委託内容、②報酬に関する定め、③契約の更新に関する記載、④知的財産に関する項目、⑤損害賠償・契約解除に関する定め、についてをしっかり見ておくといいよ!

 

✔️ 委託内容
まずは、業務内容をチェックします。しっかりとしたクライアントの場合は、納品方法まで書いていますが、「〜用の記事制作」「〜使用目的のイラスト」などが書かれてあればOKです。ほとんどのケースで案件の分野の指定はありません。例えばライターの場合、金融系の記事という表記ではなく、「記事制作」とだけ書いてある場合にはクライアントから得意ではないジャンルの発注もあるかもしれません。この点は、話し合いを持って解決するのが適切です。

✔️ 報酬に関する定め
案件の単価、目的物の対価、支払い時期などがきちっと明記されていることを確認しましょう。消費税に関する定めもあるほうが良いです。仮に契約書をまとめない場合でも、内税なのか外税なのかをはっきりしておくべきでしょう。

✔️ 契約の更新に関する記載
直接契約を結ぶ場合、契約期間が示されていると思います。業種にもよりますが、半年〜1年というものが多いでしょう。契約更新条項(当事者双方から申し出がない場合には、同一条件で契約更新をするものとする)の記載も確認してください。

✔️ 知的財産権に関する項目
著作物(イラストや記事、楽曲など)に関する権利はどちらに帰属するものかについても確認してください。WEBのコンテンツ製作の場合は、ほとんどのケースでクライアントになっています。特にイラストの場合は、納得できない方もいらっしゃると思いますので、この点に異議がある場合には交渉をしましょう。

✔️ 損害賠償・解除に関する定め
契約書には、ほぼ必ず損害賠償の条項があります。内容について不要な文言がないか確認しましょう。たいていは、契約内容に関する違反がある場合に、損害賠償を請求できるとするものです。片方だけの権利になっていることはありえないと思いますが、念のため、「甲または乙」というように、両当事者が請求できる旨の記載があることを確認してください。また、解除条項についても「いつでも解除できる」との規定がある場合には、クライアントに有利な契約となります。意義がある場合には、交渉しましょう。

直接契約は、フリーランスに必須!プロとしてきっちり内容を確認しよう

もともと会社員でやっていたことをフリーランスで行っている場合、最初から直接契約が多いかもしれません。一方、なんのコネクションもなく新しい世界に飛び出してしまった場合、クラウドソージングから始めたという方も多いと思います。そして、クライアントと対応に交渉していかなければならないことに、不便を感じる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、契約内容が明らかであれば、不安も減るはずです。直接契約を多くゲットできれば、その分収入の安定にもつながります。皆さんも契約書はきっちり確認して、プロとしてお仕事をいただきましょう!

 

D恵
少しはこれで、不安を解消できたかしら?笑 “
B美
思ってた以上に知らないことが多かった!これで、ある程度どんなクライアントにも慌てず対応できそう。助かった、ありがとう!

yuikomore

司法浪人中にこの世界に浸かってしまったフリーライター。無駄に法務博士(職業)の学位あり。ノマド女子と言いながら、在宅ワークが多いのが最近の悩み。もう一度NY...

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